2017.01.17

自然と街が出会う空中庭園、ハイライン

あまり知られていませんが、以前ニューヨークには1930年代に建設された高架線があり、 貨物車両が、ミートパッキング地区(かつてマンハッタンの食肉処理場や食肉市場がありましたが、今ではバーやレストランでにぎわうお洒落なエリア)からマンハッタンの中心にあるペンシルベニア駅に物資を運んでいました。50年以上もの間、車両はハドソン川の土手に沿ってビッグアップルの空を走っていましたが、1980年代にこの線路は廃止され、放置されていました。
この廃止された線路は数十年もの間、静かに佇み自然に身を任せてきました。自然は長い時間をかけて鉄とコンクリートでできた線路に打ち勝ち、あらゆる種類の草花や低木がこの錆びた線路の間に芽を出し、都会的なチェルシー地区にささやかな緑地を作りあげてきました。 今世紀初頭に、市議会はハイラインの取り壊しと再利用を検討していましたが、壮大な設計を計画していたクリエイティブな建築家グループと「ハイライン友の会」と呼ばれる市民団体の協力のおかげで、取り壊しは避けられました。ハイラインの新プロジェクトは2002年に承認され、にぎやかな都市部のちょうど真上にあるこの場所を改修する作業が2006年に始まりました。 こうした努力のおかげで、この線路は素晴らしい最先端の都市公園に生まれ変わり、ロウアー・マンハッタンの中心部で、脱工業化の遺跡と生い茂る植物が見事に調和した、無料の散歩道を市民に提供しています。

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線路の間に自由に育った植物は景観の設計に利用され、天然の自然と都市公園の要素が融合したさりげない美しさを織りなしています。 線路の大部分は歩道として残され、古い線路の魅力を再現しています。

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200種類もの植物が生え育つ1.5マイル長の屋上庭園は、ガンズヴォート通りから34丁目までをつないでいます。その最初の区域は2009年に、最後の区域は2014年に一般に公開されました。歩道としての利用を促進し、人々が集う場所や緑地を増やし、街の歴史を保存し、ロウアー・マンハッタンの慌ただしさとは対照的な落ち着ける散歩道を作るという、この壮大なプロジェクトの目標はすべて達成されました。
ハイライン・プロジェクトは、完璧に成功した「アグリテクチュア(agritecture)」のお手本です。この用語は農業(agriculture)と持続可能な建築(architecture)との融合を示す造語です。アグリテクチュアの目標は、工業地帯や都市部で使われていない土地を、生物の多様性を尊重しながら木々や農作物を植えることで再利用し、街をより住みやすく、緑豊かで、くつろげる場所にしていくことです。

この都市公園には入り口が11か所あり、そのうち5か所は車椅子でも利用できます。
公園の整備や運営を行っている非営利団体「ハイライン友の会」のボランティアが常に手入れをしているので、大変よく維持されており、夜は街路灯で照らされて管理も行き届いているので、遅い時間でも明るく安全です。
特に、20丁目にある入口から公園に入り南へ向かっていくと、超高層ビルに囲まれた場所で植物が息づいている様子が大変素晴らしく、かつ革新的です。またここからは、マンハッタンのスカイラインの眺めがとりわけ見事です。
ニューヨーカーはここで読書をしたり(私も執筆にインスピレーションが欲しいときに行きます)、ベンチでくつろいだりするのが好きです。このベンチは生分解性材料 でできていて、土からそのまま生えているような見た目で、公園と完全に調和しています。

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ハイラインには自然の花だけでなく、一年を通して多様な文化活動や商業活動が花を咲かせています。円形劇場では劇が上演されたり、夏には映画の上映会が開かれたりしています。芸術作品の展示スペースや、小型の店舗、アイスクリーム店、バーなどもありますし、最近ではおしゃれなホテルもオープンしました。
このエリアは今ではロウアー・マンハッタンで最も流行りの場所のひとつで、周辺の不動産はマンハッタンで一番人気になっています。

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ニューヨークを旅行するなら、ガンズヴォート通りにあるハイライン南端の入り口のすぐ近くにあるホイットニー美術館を観光プランに入れるといいでしょう。アメリカ人アーティストを専門に扱った、世界で最も重要な近代美術や現代美術のコレクションを所蔵する美術館です。詳しいことは多分また別の投稿でご紹介しましょう!