2017.03.06

ロンドンのストリート・アート

ストリート・アートは時として、都市の再開発や経済成長と深く結びついています。イギリスの首都、ロンドンにあるいくつかの 工業地区で、2月から3月にかけて2年連続で開催される「ペイント・ロンドン(Paint London)」プロジェクトの目的もまさにこれです。
この都市プロジェクトのねらいは、より手頃なアーティスト用の作業スペースを市内に確保する必要性が増していることを、多くの人に認識してもらうことです。
具体的には、2月中旬から3月中旬頃まで、ロンドン市議会が全面的なスポンサーとなって、十数人ほどのストリート・アーティストに壁画やストリート・アートの制作を依頼し、現代アートの本格的な野外美術館を作りあげる取り組みとなっています。



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このストリート・アート・フェスティバルに参加するアーティストの中には、国際的に高く評価されている壁画家もいて、地元の有望な若手アーティストとともに、むき出しの倉庫やみすぼらしいビルの外壁に装飾を施して個性を与えていきますが、その中には社会的なメッセージが込められているものも多くあります。
こうしたアーティスト全員に共通しているのは、それぞれのキャリアのある時点で、手頃な作業スペースが見つからずに苦労したり、自身の作品を誤解または過小評価されたりした経験があるということです。
明るい色彩、抽象的なテーマ、政治的モチーフ、動物の絵など、さまざまな作品が集まるこのイベントは、参加したストリート・アーティストたちの創造力や才能を売り込むための発表の場になるだけではありません。ロンドナーや観光客に、ウォルサムストウのような見過ごされがちな近隣地区の再発見を促すし、ロンドン東部にあるこのような工業地区の美観を改善することも目指しているのです。
ウォルサムストウは主に労働者階級の住宅地で、都市再生プロセスの拠点として選ばれました。住民がアートと経済成長の重要な関係を認識できるよう、地元の事業主の参加を目的としています。
昨年と今年の作品を鑑賞するには、徒歩か自転車でウォルサムストウ界隈などへ出かけてみると良いでしょう。
ウォルサムストウ・レジデンツ・アソシエーションにより、2月から3月にかけてこの地区の周辺でさまざまなマーケットやイベントが催される予定で、昨年同様、ウォーキング・ツアーもきっと開催されると思います。
私もこのツアーには昨年参加しましたが、とてもよかったです。すでに完成し、披露されている作品だけでなく、その場で制作中の作品も見ることができましたから!
歩きながら、アーティストが制作するところを眺めたり、アーティストと話をすることもできました。 とても大らかで気さくな人ばかりで、自分たちが認められたことに誇りを感じている様子がひしひしと伝わってきました。


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市議会がスポンサーとなっているこのプロジェクトとは別に、郊外にある住居や店舗のオーナーに個人的に連絡を取って、外壁にペイントする許可を求めた地元の壁画家も何人かいたそうです。そして、OKがもらえると制作を開始して、荒れ果てたビルをカラフルなアート作品に変身させたのでした。
私はこうした壁画家のひとり、エヴァン・M氏に会ったことがあります。
彼は17歳のときに壁画家として活動を始めました。
当初は(彼自身が認めているように)不届きにも、公共の壁に許可なくスプレーでペイントしていたそうですが、自分の作品が評価されるようになってから、芸術家になることを決意し、エアブラシ塗装のテクニックを磨くことに情熱を傾けました。
そして、ロンドン芸術大学で学位を取得後、市内のモダンアート・ギャラリーや企画展で小さめの作品を展示するようになり、今回の私の短い「インタビュー」にも快く応じてくれたというわけです。
「この種のアートには遊び心や娯楽の要素があります」とエヴァン氏は語ってくれました。彼はほとんどのストリート・アート作品がもつ面白さの要素を強調し、「普段は見過ごされている壁や街角に新たな息吹を吹き込み、彩りを添えるのがストリート・アートのトリックだ」とも説明しています。
私も同感で、アートは地域に新たな活力を与えるとともに、住民どうしの結びつきを深める手段になると確信しています。
ストリート・アートは壁画の大きさや鮮やかな色彩という特徴があるため、誰の目にも留まります。しかも公共の場所にあり鑑賞が無料なので、年齢や背景を問わずあらゆる人が立ち止まって眺めることができ、大都市における共有型アートのひとつとなっています。


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