2016.12.13

ロンドンのシークレットイベント

昔々、外食というささやかな喜びがありました。
レストラン、食堂、パブ、ファーストフードチェーン、 カフェを利用するという選択肢と、居心地のいい家に集まって友人とテーブルを囲んでの夕食という選択肢があり、 後者ではボトルワインを持ち寄って、友人や新たな知人とあれこれ話し込んだものでした。
この2つの外食スタイルには関連性がありますが、あくまで別物であり、相容れないものと考えられてきました。ところが、ロンドンでは最近、サパークラブの人気が高まっていて、両者がうまく融合されているのです。
サパークラブでは2つの外食スタイルが両立しています。
しくみはいたってシンプルで、口コミを利用して、一晩だけの「秘密の」レストランと化した誰かの自宅を訪問するだけです。
この自宅レストランはある程度秘密裏にインターネットで宣伝されることもあり、その場合、閲覧するには必ずパスワードが求められます。
サパークラブのオーナーが、主催する食事イベントを掲示板に掲載したり、チラシで宣伝したりすることもあります。
さまざまなサパークラブがあるので誰でも楽しめます。例えば、セリアック病を患っている人、ベジタリアン、ヴィーガン、または肉が大好きな人のためのものもあれば、ブランチだけを提供するもの、フォーマルな夕食やビジネスミーティングにも適した5皿のコース料理を提供するものなどもあります。

サパークラブの利用はきっとユニークな体験になるはずです。他にはない独特なレストランを発見する感覚と、友人と集いながらの気さくな食事といった楽しみが融合されていますから。
内々の集まりで貸し切られている場合もありますが、サパークラブは通常、社交的なイベントなので、いつもとは違った夜を過ごし、新しい人と知りあえる素晴らしい機会にもなるでしょう。
サパークラブを探す方法は簡単で、ソーシャルネットワークかブログ(このサイトのような)の口コミを利用します。
ウェブサイトをいろいろ見てみれば、自分にぴったりのサパークラブを探すためのヒントをたくさん見つけることができるかもしれません。
ロンドンのフードブロガーたちは、おいしい食事と真にユニークな体験を満喫できる「秘密のレストラン」を間違いなくリストアップしていますからね。

サパークラブでのランチは必ずB.Y.O(ボトル持参)です。つまり、好きなワインを自由に持ち込むことができるのです。通常のレストランでは、持参のワインを飲むのに抜栓料を取られることが多いのですが、サパークラブでは無料です。ノッティングヒルは日曜日のランチにうってつけの地域です。いくつものサパークラブがあり、ゲストは自家製のロースト料理やイギリスの伝統料理を、紅茶やスコーン、ペストリーといっしょに楽しむことができます。
サパークラブでは、なんとお客さんにも調理を体験してもらうといったような、通常のレストランには決してまねできないユニークなサービスもあります。オーナーがお客さんにキッチンを開放し、料理に関する講習会や教室を主催するサパークラブもあります。
楽しい体験ですし、ロンドンではこうした体験を人にプレゼントするのが人気になってきています。

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さて、こんな「秘密の夕食」の後には、映画の一本も見てみたい気になるかもしれません。でも、昔ながらの「古くさいスタイル」で見るのは気が進まない場合もありますよね。
安心してください!
ロンドンでは最新のトレンドを反映した、映画好きのためのシークレットシネマに出かけることができます。
シークレットシネマは所定の場所で開催されるわけではありません。もちろん場所は実在しますが、毎回会場が変わるのです。上映会は月に1度で、このサービスに登録したロンドナー(または参加希望者)には上映会当日直前にメールが届きます。
この日まではイベントがどこで開催されるのか知ることはできませんし、オープニング・クレジットを見るまで、どんな映画を見るのかも分からないのです。
ですから、このイベントに参加すると決めたら、ロンドンのどこかの草むらで、モノクロ映画ファンに囲まれながら古典的なモノクロ映画を鑑賞することになったり、ひょっとしたらホラー映画を見ることになったりするかもしれないと覚悟しておく必要があります。
行き当たりばったりで、ミステリーと娯楽を満喫するというわけです。
「映画館以外で」映画を見るスタイルはブームになっていますが、これはあまり知られていない場所や、行きにくい場所を訪れる絶好のチャンスだと思います。
ぎりぎりまで詳細を明らかにしない「レイブ・スタイル」のような、謎めいた要素がここ数年、従来の映画館を看過してきた若者たちを惹きつけているのです。個人的には、こういったイベントがきっかけで人が集まり、映画鑑賞をより社交的で、活気あふれる集まりにしていると思います。
私もこれまでにシークレットシネマで映画を見たことがありますが、本当に楽しいものでした。ピクニック用のバスケットとワインを持参して、息苦しい映画館で座って見るより、はるかに映画を楽しむことができました。
参加方法はシークレットシネマのウェブサイトにアクセスして、心の準備を整えるだけ。完全にシークレットなイベントですから、次のイベントの開催場所を知る手がかりはまったくありません。
そこが魅力なんです!

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では、映画が好きではなく、詩の朗読会に参加したい場合はどうしたらいいでしょう。あるいは、ロンドンで(あいにく)雨が降っていたらどうしたらいいでしょう。
そんな時は、(もう、お分かりかもしれませんが)シークレットな詩の朗読会に参加すればいいのです。
人けのないカフェで、 退屈でもったいぶった詩の朗読会が開催されていた日々は遠い昔のこと。
現在の朗読会のスタイルはダイナミックな参加型で、退屈とはほど遠いものです。
このような表現方法は、ときとして挑戦的でありながらも常に魅力的で、「スポーツ観戦」の1種に例えられることも少なくありません。
この斬新でシークレットな詩の朗読会では、ステージ上で自分を表現して注目を浴びることになります。詩のトピックは恋人にフラれたことでも、最新の政治ネタでも構いません。シークレットな夜の朗読会は完全なオープンマイクナイト(飛び入りで参加できるステージ開放イベント)で、地元ミュージシャンの演奏や詩のイベントといったメインイベントの前後に設定されていて、自分のコミュニケーション力や表現力を磨くことができます。
こうした夜のイベントは、芸術に少しでも関心がある人なら誰でも参加できます。さあ、楽しまなきゃ損です。言い訳はなしですよ!

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