2017.02.28

陽気に楽しむカーニバルの季節

ここイタリアでは、クリスマス休暇のあと、復活祭という次の宗教的な一大イベントが訪れるまでの間の七旬節の日曜日から カーニバル・シーズンが始まります。七旬節(Septuagesima)という言葉は「70」を意味しますが、七旬節はその意味とは異なり、復活祭の日曜日のちょうど9週間前の日曜日にあたります。そして告解の火曜日の翌日、灰の水曜日にカーニバルは終了するのですが、2017年においては3月1日にあたります。告解の火曜日はカーニバルを祝う最終日とされ、最もイベントが多く、全国各地で盛大なパレードが行われます。
私はこの時期が大好きです。それは、冬の寒くどんよりした季節が過ぎて春の訪れを待つ街が色とりどりに飾られ、みんな急にお祭り気分に溢れて陽気になり、冬の物悲しさに別れを告げる時期だからです。
カーニバルのモットーに「a Carnevale ogni scherzo vale(カーニバルの期間はどんな冗談も許される)」という韻文があるように、これは冗談やいたずらの時期なのです。


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カーニバルの街にあふれる色とりどりの吹流し

イタリアでは、カーニバルは毎年行われる伝統行事で、かの有名なブラジルのカーニバルが思い起こされるような山車のパレードで祝います。仮面や衣装はこの季節の風物詩であり、また紙ふぶきやカラフルな吹流しもこの時期ならではのもので、道端やパーティーなどでばら撒かれます。
イタリアのカーニバルのお祭りは歴史ある伝統行事としてとても有名で、各地域で行われるイベントのプログラムは大変充実しており、2月の間はイベントやコンサートが街を賑わします。イタリアならではの衣装や仮面には、アルレッキーノやバランゾーネ、プルチネッラ、パンタローネ、ジャンドゥイア、コルンビーネなどがあり、これらはみな歴史的な由来のある独特の衣装なのです。
イタリアの仮面には文芸的ともいえる長い歴史があり、演劇や地域で語られる物語の登場人物たちに端を発しています。それぞれの街には特有の仮面があり、たとえばアルレッキーノはヴェネツィア生まれで、黒い仮面に菱形模様のカラフルな衣装を身につけています。また、顔の半分が白、もう半分が黒の、白いパジャマを着たプルチネッラはナポリ生まれ、エレガントな衣装をまとったバランゾーネはボローニャ生まれです。でも今ではこのような仮面は、カーニバルの時期には地域を越えてイタリア各地で見うけられます。


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イタリアの伝統衣装のひとつ、アルレッキーノ(道化師)

カーニバルは解釈するのが難しい時期ですが、お祭り騒ぎができる楽しい時間なので、日々の悩みなどは忘れてしまいます。
キリスト教の教会暦では、カーニバルは公現祭(1月6日の三賢王礼拝の日)と四旬節の間とされています。カーニバルという言葉の語源についてもっとも確かとされる説は、ラテン語の「carnem levare(肉を断つ)」という言葉からきているというもので、復活祭の前に肉を食さないという宗教的な行為を指しています。
ところがその語源とは逆に、カーニバルは飲食やパーティーを楽しむことが特徴的な期間になっています。また、カーニバルはキリスト教とは別のサトゥルヌス祭から生まれたものだとする学者もいて、カーニバルの起源ははるか昔に遡ると考える人たちもいます。古代ローマ時代の人々は、農神サトゥルヌスを祀る寺院の築造記念日を祝い、通りに繰り出して歌ったり、神々の父のサトゥルヌスを讃えたりしていました。

私の出身地のリグーリア州では、2月の間中、山車のパレードでカーニバルを祝います。
人々の参加意欲は高く、地域を挙げてのイベントになっています。募金活動や学校の取り組みのプロモーションなど、人道的な活動もよく連帯して行われています。
ヴェネツィアを除く大都市ではカーニバルのイベントが行われません。一方で、普段観光客が見向きもしないイタリアの小さな地方都市がカーニバルを通して、都会文化とは全く異なる自らの文化的アイデンティティーを強く主張し、この短い期間だけは表舞台に立っているという事実には、注目すべきものがあります。
山車はたいてい花や吹流しで飾られ、参加者たちは衣装を着て山車に乗り、山車が道を進む間、キャンディーや景品などを観客に向かって投げます。


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列を成して前進するカーニバルの山車
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山車は花で飾られたものが多い

カーニバルの間は、仮装パーティーが家や学校などで行われ、学校の仮装パーティーでは午後になると子供たちは海賊やお姫様、妖精、魔女、アニメのキャラクターなどに扮装してゲームを楽しんだり、ペントラッチャ(ピニャータのこと)を叩いてキャンディーやチョコレートをもらったりします。
ペントラッチャは、たいてい張子でできたカラフルな模様の容器で、中に小さなおもちゃやお菓子などが詰まっています。子供たちは目隠しをしてピニャータを棒で叩き壊し、できるだけ多くのお菓子を手に入れようとするのです。
大勢の大人たちもまた、この時期になると仮装パーティーをして、子供同様に景品付きのゲームなどをして楽しみます。 家庭でカーニバルのパーティーを開くときには、紙ふぶきを撒かないようにしましょう。なぜなら、紙ふぶきが家のあちらこちらに入り込んで、何ヶ月も後になってもまだ家の隅で見つかったりするのですから!


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カーニバルの時期に童心に帰る大人たち
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カーニバルの時期にはイタリア全土のパン屋やケーキ屋においしいお菓子が並び、どの店にもキアッケレ(「おしゃべり」の意)と呼ばれるお菓子が売っています。これは、小麦粉とバターでできた甘い揚げ菓子で、上に粉砂糖をふりかけてあります。形は地方によってさまざまで、アプリコットジャムやヌテッラが中に詰められているものもあります。
カーニバルのお菓子の中には地方色が強く、限られた街にしかないものもあります。その中でも私のお気に入りは「カーニバルの甘いラヴィオリ」です。このカーニバルのラヴィオリは、パスタのラヴィオリに見た目はそっくりなのですが、マジパン(アーモンド・ペースト)でできていて、チョコレート・ペーストが中に詰められ、(パルメザン・チーズさながらの)アーモンド粉がふりかけてあり、(トマトソースのような)イチゴジャムが上にかかっています。それは大変美味な(そして恐ろしく高カロリーな)お菓子で、告解の火曜日までの数週間だけ、私の街にある一番おいしいケーキ屋で売られています。
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カーニバルの揚げ菓子、キアッケレ

ここで、私の母による一般的なカーニバルのキアッケレのレシピをご紹介しますので、ご家庭で是非試して、カーニバルの気分を味わってみてください!

材料
小麦粉250g、卵1個、バター25g、牛乳50g、砂糖20g、有機栽培レモンの皮のすりおろし、塩1つまみ、イースト2g、揚げ油、仕上げ用粉砂糖

作り方
小麦粉を山状に盛り、その中央に卵と柔らかくしたバター、砂糖、塩1つまみ、レモンの皮、イーストを加えます。
牛乳を少しずつ加えながら、徐々にこねます。生地が均一でねばつかなくなったら、丸めてラップに包み、最低30分間冷蔵庫で寝かします。
寝かし終わったら、生地を冷蔵庫から取り出し、のし棒で約3.5ミリ程度の厚さに薄くのばします。
ペストリー・ホイールを使って、中央から生地を中くらいのサイズの長方形にカットします。
フライパンに油を入れて熱し、熱くなったらキアッケレを入れ、数分間、両面がきつね色にカリッとするまで揚げます。 揚がったら、キッチンペーパーの上に置いて余分な油を除きます。粉砂糖をふりかけて冷まします。キアッケレは少し温かめか常温で食べるのが美味しいですよ。お試しあれ!