2017.01.17

真っ黄色の人気者

イタリアに来た当時に人生で初めて、お料理って楽しいなと思ったことをはっきり記憶しています。それは、お料理が苦手な私が 実に単純な方法で美味しそうに見える(だけでなくてお味も良い)イタリア料理の一品が出来た!と感じたからです。
イタリア料理の誰もが思い浮かべる定番には、トマトソースをあえて、バジリコの葉っぱを乗せるイタリアの国旗の三色にも例えられるパスタ。見た目も華やか、香りも豊か、パスタの茹で加減をうまく調節出来さえすれば、満足感の得られる一品となるわけです。

イタリア料理の色合いは和食のそれとは随分違うのですが、はるか昔からお料理の色彩には重要な意味を持たせていたようです。
湿地帯が多いロンバルディア州は、古くにスペインから伝えられた米の生産が活発になりました。料理における白色は、純潔を意味してキリスト教に大事にされていて、下痢止めに効くとされ薬のように扱われた白いご飯は高脂質のラードや牛乳に代わって重宝されたそうです。ミラノでは、ミラノ風リゾットが生まれました。高価なサフランを加えると黄金色に輝くこのリゾットは、当初、貴族達の間ではさぞ流行したであろうと思います。

そのミラノ風リゾットの誕生にまつわる伝説は、ミラノの大聖堂ドゥオモから始まりました。その当時ドゥオモのステンドグラスの制作に携わっていたガラス職人ヴァレリオ ディ フィアンドラ師匠には、サフランというあだ名の助手がいました。この助手は、色粉にサフランを混ぜると活き活きとした色合いを生み出せることを気に入ってしまい、どこにでもサフランを混ぜてしまう癖があったので、こんなあだ名がつけられてしまったのです。ディ フィアンドラ師匠は呆れて「そんな調子でサフランをどこにでも使うなら、料理にも入れたらいいんじゃないか?」とからかっていました。助手のサフランは、それをしっかり覚えていて、師匠のお嬢さんの結婚式の宴会で、コックと手を組んで悪戯心でサフランをお料理に加えました。本当はバターのみで味付けしたリゾットが出されるはずだったのです。
最初は宴席の皆を真っ黄色の代物でビックリさせてしまったこのサフラン入りの料理は、 ためらいながらの一口二口と進めるうちに「ほぅ、結構美味しいじゃないか!」と言わせ、鮮やかな黄色とリッチな風味で宴席を沸かせた後、瞬く間にミラネーゼの間で大流行しました。

日本のお米を研ぐと真珠のようにキラキラと光沢を放つのが美しく、鬼の牙のようにと、お米を立たせるご飯の炊き方を重要視する日本人には、ミラノ風リゾットの流行は?

、、、見込まれませんね、、、

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